HOME > 甲状腺の病気とは? > 治療方針・内容

  治療方針・内容

  甲状腺機能亢進症の治療
甲状腺機能亢進症ではバセドウ病が最も多いですがその治療は大きく分けて、薬物治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つの治療法にわかれます。
甲状腺
❶ 薬物療法
抗甲状腺薬による薬物療法は、最もよく使われており第1選択となることが多いです。注意する点としては抗甲状腺薬による副作用として顆粒球減少や肝障害などの副作用が生じる可能性があることや、バセドウ病が薬で改善しても再発することがあることなどが挙げられます。
❷ 放射性ヨウ素内用療法
放射性ヨウ素内用療法は、安全で確実ですがバセドウ病の再発しないように甲状腺機能低下をめざすと甲状腺機能低下症になることがあり甲状腺ホルモン薬の服用が必要になる場合があります。欠点としてはどの医療機関でもできるわけではないこと、バセドウ眼症が悪化する場合があること、放射性ヨウ素を使うので小児や妊婦・授乳婦では行えないことなどが挙げられます。
❸ 手術療法
手術による甲状腺摘出術は、最も早く確実に治療効果が得られます。再発がないように全摘除を行うと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。欠点としては、全身麻酔による手術でもあり、入院が必ず必要であること、手術の傷が残ること、場合により手術の合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症など)のリスクがあることなどがあります。
  甲状腺機能低下症の治療
橋本病などで甲状腺機能が低下している場合には甲状腺ホルモンである合成T4製剤(チラーヂンS)の服用による治療を行います。
高齢者や、冠動脈疾患、不整脈のある患者さんでは正常の甲状腺機能にするために急激に増量すると狭心症のような症状や動悸症状が出る時があるので慎重に内服を開始し、ゆっくりと増量していきます。
成人の合成T4製剤の内服維持量は50〜150µg/日です。
内服治療は通常少量から開始し、維持量にまで徐々に増やします。
維持量に達するのには数か月かかりますので焦らずに治療を進めていきましょう。また甲状腺ホルモン(FT4・FT3)値が正常範囲内であっても、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値の場合、それを潜在性甲状腺機能低下症と言います。
我が国での調査では健康な人の4〜20%にみとめられるといわれており、特に女性に多く年齢が上がるにつれて増加します。
治療するかどうかはTSHの値や他の症状などで個々に検討しますが、不妊治療中や妊娠中の方に関しては合成T4製剤の内服を通常より早期に開始していきます。
  甲状腺乳頭腺癌の治療
「甲状腺腫瘍診療ガイドライン(2018年版)」では、甲状腺癌で2cm以下で転移や浸潤の徴候のないものを低リスク群、4cmを超えたり、激しいリンパ節転移や浸潤のあるもの、遠隔転移のあるものを高リスク群、その中間を中リスク群としています。
そのうえで、低リスク群には葉切除を、高リスク群には甲状腺全摘と術後補助療法を推奨しています。中リスク群の治療方針は、予測される再発・生命予後と手術合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下など)の発生頻度とのバランスをもとに、個々の状況に応じて決めるのがよいとされています。